第822話

 カミュが本編のテンションからは考えられない、握りこぶしを作ってみせた。

 その姿に、おもわず、おぉとノエルたちも声を漏らす。


「……私たちこそ、この国の平和の担い手なのです!!」


「その通りです、カミュ係長!!」


「……私たちの敗北は、すなわち、この国の平和の敗北!! それは許されません!!」


「まったくもってその通りだポン、カミュ係長ポン!!」


 刑事たちの目に炎が燃える。

 絶対に、この事件の犯人を捕まえるのだ。


 まるでマジもんの刑事ドラマか。あるいは、一昔前の劇画漫画か。

 三人の顔にカットインが入った――その時だった。


「自首しますわぁっ!!」


「……し、師匠!?」


 いきなり捜査一課のデスクに突入してきたかと思うと、南条が素っ頓狂な声をあげたのだった。

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