第818話
場所を取調室から、捜査一課のデスクに移動して、ノエルとポン子は話を続ける。
「そもそも、朝倉以外に、パラケルススと親交のあった人間はいないポン?」
「パラケルススの爺さんは、そりゃもう悲しいくらいに哀れな独居老人だったんだよ。実の娘とも絶縁状態。孫とも顔を合わすこともなく、陶芸教室も、開いちゃいるけど閑古鳥が鳴く始末」
「ポン。それは悲惨だポン」
「そんな設定のパラケルスス老人に、唯一接していたのが、あの朝倉・
月謝の高い低いはさておいて。
怪訝な顔をしたのはポン子だ。
むぅと彼女は顎に手を当てて首をかしげると、おかしくないですか、と、ノエルに面と向かって異を唱えた。
「ポン。そこまでして尽くしている相手を、はたして殺害しようと思うでしょうか」
「……わからないのか? ポン子よ?」
「ポン?」
「人間ってのはさ、その対象に向ける愛が深ければ深いほど、それが転じた時の衝動という奴も大きくなるものなのさ」
なんかそれっぽいことを言っているなぁという感じにノエルを見るポン子。
と、その頭に、どこから飛んで来たのかダルマがぶつかった。
「勝手に、あの爺と俺をそいういう関係にするんじゃねぇ!!」
「師匠!! 現代モノなので、魔法は使わないでください!!」
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