第816話

「お前が、吉田・パラケルスス・二世と、陶芸教室で師弟関係だったことは掴んでるんだ」


 気を取り直して、ノエルがドンと机を叩く。


 しかし朝倉、まったく協力をしようという素振りがない。

 あまりの無気力ぶりに、机に突っ伏したまま、ぐへぇ、と、彼女は息を吐いた。


 ちょっとちょっと、と、ノエルがフォローに回る。


「師匠!! 真面目にやってくださいよ!!」


「真面目にやってられるかよ。というか、だいたいこの手の、調は、犯人じゃないってのがセオリーじゃねえか」


「しーっ!! しーっ!! それは言わないお約束って奴ですよ!!」


 さっさと次の容疑者連れて来いよまったくよぉ、と、朝倉。

 それをやってしまうと、自分の出番がなくなってしまうというのに、構わない辺りが彼女らしいというかなんというか。


「おらーっ!! もう、かつ丼でも牛丼でもなんでも持って来いやーっ!!」


「はっちゃけないでください師匠!!」


 今回は、朝倉ではなく、弟子の方が苦労する番のようであった。

 まぁ、番外編だし、そういうのもありですかね。

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