【番外編】迷探偵の弟子

第815話

 都内某所。


 アパートに一人暮らしだった老人、吉田・パラケルスス・二世。

 未明、彼が、自宅アパートで何者かに鈍器で殴られ殺害される事件が発生した。


 凶器は不明。

 また動機も不明。

 物取りにしては、パラケルススの部屋は綺麗であった。


 以上から、殺害自体が目的ではなかったのかと、管轄警察署の捜査一課は考えた。

 怨恨の筋で、彼に何かしらの恨みを持った人物がいるのではないか。


「お前がやったんだろう!!」


 どん、と、机を叩いたのは捜査一課の新米刑事――田中・ノエル刑事である。

 一方、彼女に机を詰め寄られているのは――。


「……なんで、最近俺、こういう役どころばっかりなの?」


「師匠!! 素に戻っちゃ駄目ですよ!!」


「いやけど、あんまりじゃねぇ?」


「……それはまぁ」


「ちょっと、たまにはこう、まともな配役にして欲しいんだけれど」


「けど、作中のキャラで、師匠の師匠に恨み持ってるのは、師匠くらいでは?」


 それ言ったらおしめえよ、と、朝倉が机につっぷす。


 そう、容疑者は朝倉・クラヴェル・クローデットであった。

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