第812話

 禁術、虚構魔法。


 四属――地火風水――のカテゴライズの枠から離れた魔法群を差す。

 疑似生命魔法も四属から離れた魔法ではあるが、これは生命魔法でまた別枠。


 つまるところ、原理のよく解明できていない魔法である。


 原理を知らぬのに、それを行使するということがどういうことか。

 未知の力に飲み込まれる危険性をはらんだその行為を、魔法協会免許制という形で管理している。


 虚構魔法の深淵は深い。

 時空転移、あるいは、時間遡行。


 そして、今、鉄柵の仮面の魔法使いが使ってみせたような、空間圧縮――厳密には重力操作の魔法もある。


 彼が作り出したのはマイクロサイズのブラックホール。

 超重力のそれに吸い込まれた火竜は、圧縮されたのち掌大の石へと転化した。

 それを拾い上げて、にやり、と、鉄柵の魔法使いが朝倉に微笑む。


「大陸最強。まだまだ、魔法の使い方を知らぬと見える。一つ、ご教授しようか――魔術の深淵という奴を」


「……っく!!」

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