第798話

「いいことを教えてやる。一つ、俺の弟子は敵を倒すのに、魔法の腕なぞ使わない。そんなもん使うくらいなら、自分の体を強化して殴る」


「……そんな」


「二つ、あのバカの身体は人間のそれを超越している。大魔術師グランド・キャスターはたいそうな魂をお造りあそばせたようだが、その魂を入れるべき身体を間違えたな?」


 腕を折り、膝を砕き、肩を外し、丹田に拳を入れる。

 ぐふ、と、どす黒い血を吐き出して、ハーボウがその場に崩れ落ちた。


 四肢を徹底的に破壊されたのだ。

 仕方ないだろう。


 すかさず、朝倉は、彼女の体を拘束魔法で縛り上げる。


「三つ。魔法使いの強さを決めるのは魔力じゃねえ。場数だ。お前さんは、確かに一級品の魔力を持っているようだが、絶望的にそいつが足りてない」


「……うぅっ」


「その仮面と同じように、おとなしく樹の上から周りを観察しておくべきだったな。ハーボウ。魔法使いとして戦えるなんて勘違いしたのがお前の敗因だ」

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