第795話

「其れなるは泥濘より生まれし黄金の腕!! 全てを砕き、全てを握りつぶす、凶暴の剛腕!! 造物主の腕ゴーレム・フィスト!!」


 赤色の魔法陣が展開したかと思えば、そこから巨大な腕が繰り出される。

 朝倉の体を丸ごと覆い隠すようなその巨碗。


 防御態勢は不完全。

 正面から、朝倉はそれに打ちのめされた。


 そこは大陸最強の魔法使い。

 体勢こそ受け身の構えには間に合わなかったが、身体強化の魔法と、練り上げた丹によりなんとかその一撃に踏みとどまった。


 しかし――。


「一撃だけで、終わるとお思いですか? この腕を自在に操るくらいの力――私が持ち合わせていないとでも?」


 繰り出される、造物主の腕ゴーレム・フィスト


 黄金色の岩のような腕が朝倉の体をたたきつける。

 じわりじわりと、朝倉はその体を後退させるのだった。


「……くっそ!!」


「自分が作り出した、拘束魔法が仇になりましね、朝倉氏」


 朝倉の背中。

 そのすぐ後ろまで、彼女が自分自身の魔力で作り出した、緑色をした魔法の柵が待ち構えているのだった。

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