第794話

「貴方も感じたでしょう、朝倉氏。私から、ディアボリクァの威圧を――」


「……もっと性質の悪い奴ってことかよ」


大魔術師グランド・キャスターの目的は、魂の錬成ではありません。より高次なもの。この世界を支配する者ディアボリクァの魂を創出することを目指しておられる」


 その研究の賜物が、目の前にいるハーボウだということか。

 ぞくり、と、朝倉の体をまた悪寒が襲った。


 ノエルと同じ力を秘めた者。


 自分の手にも余る弟子である。

 そして、彼女と出会った時のこと――あの嵐のような戦いのことを考えれば、その悪寒について今さら説明など必要なかった。


 すん、と、ハーボウの姿が消えた。


 気が付くと彼女は、朝倉の懐の中へと飛び込んでいた。


「では、お見せしましょう。大魔術師グランド・キャスターがたどり着いた、一麦の重さの力を」


「――ッ!?」


 腕を突き出し、高速詠唱を仕掛けるハーボウ。

 朝倉の防御が一瞬遅れた。

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