第792話

「私の名前はハーボウ。姉――貴方たちが言うカミュの後に、魔道培養臓器まどうばいようぞうきと外科医術を得意とする、父サミュエルが作り上げた最後のホムンクルス」


「サミュエルのホムンクルス!?」


 カミュを作ったのは医療魔術の大家、故サミュエルである。

 彼の大魔法使いは、自らが培養した臓器の実験のために、人間と変わりないカミュを作り出したと朝倉は記憶していた。


 しかし――。


「どういうことだ!? サミュエルが仮面の一団お前らに協力していたということか!? というか、奴は死んで……」


「そうですね。父は病気で息絶えました。ジャン・バルジャンが仕込んだ病気で」


「なに!?」


「父は仮面の一団我々とは関係ありません。大魔術師グランド・キャスターに命ぜられて、カミュと同じ私を作り上げた……。そして、その記憶を消され、念のためにジャン・バルジャンが始末したのです」


「なんのために!?」


一麦の重さの錬成と、その証明のためですよ」

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