第788話

 対して。

 フクロウ面の魔法使いもまた、相当に肝が据わっているのだろう。


「……聞きたいことはこちらにもあります。私も、本来であれば、。お互いさまというものでしょう」


「ほう、はっきりとモノを言うじゃねえか」


「……この外見をして、私のことを侮っているのならば。ディアボリクァを預かっているだけの資質がないというものですね」


「そのお前らの言う――ディアボリクァってのはいったいなんなんだ。人様に、弟子を勝手に悪魔呼ばわりされるのは、正直こっちも業腹なんだがな」


「……次なる種の王。そして、我らが至らんとする進化の極み。神への道標。そう言っても、貴方にはなんのことかわからないでしょうね」


「分らんな、さっぱり。で、結局、お前はここに何をしに?」


「……ジャン・バルジャンの安否を確認しに来たんですよ」


 なに、と、朝倉の顔がその言葉に歪む。

 ジャン・バルジャンの安否とは。


 彼はこの監獄から脱出したのではなかったのか。

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