第785話

 仮面の魔法使いの集団に感じた印象を朝倉は素直に口にした。


 彼らは、何かしらの目的を同じくして集まっている集団ではある。

 だが、必ずしもその目的に至るための手段は同じではない。


 そう言う風に朝倉は彼らのやり取りを分析していた。


 例えば、ジャン・バルジャンは不老不死を研究していた大罪人である。

 一方で試験会場を襲った山羊面レオナルは、魔法生命体を研究しているようだった。


 鉄柵の魔術師が、何を研究しているのかはわからない。


 だが、そのバリエーションの多さは、彼らの方向性の違いを意味している。


 彼らは共同研究者ではない。

 同じ目的のために集まっている共同経営者である。


 つまり、端からお互いの魔法研究に興味がない――と、朝倉は結論づけた。


「ジャン・バルジャンが残した魔法研究の成果に、彼らが食いつくとは思えない」


 そもそもそのような研究成果が、ここに存在するのだろうか。

 少なくとも、彼が苦心して用意した、壁に埋め込まれた魔法使いたちは、すべて、彼女と弟子の手によって破壊されてしまっている。


 うぅむ、と、朝倉は唸った。

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