第784話

「ふむ、とりあえず、探知の魔法でそれらしいものを探してはみたが」


 まったくもって一つとして。

 ジャン・バルジャンが残した、痕跡らしい痕跡は何も見つからなかった。


 それはそうだろう。


 彼らはその活動を魔法協会はもちろん、朝倉たちに悟られぬように行動している。

 単純な探知魔法でひっかかるような、そんな安っぽい偽装をする手合いではない。


 縋るような気持ちで、何か手掛かりがないかとやって来てはみたが。

 やはり、無駄足だったか、と、朝倉が首をうなだれさせた。


「そうだわな、普通に考えてそんな痕跡を残すはずがないよな」


 ならば次に何をするべきか。


 ジャン・バルジャンの魔術の研究成果。

 それを奪取しようという可能性はないだろうか、と、朝倉はふと考えた。


 だが――。


「あいつらは、徒党を組んではいるが、そういう集団ではなさそうなんだよな」

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