第757話

「……しかし、ここ最近は、ギムレットさんのお手伝いばかりで、なんというか修行をしている感じがありませんね」


「そんなことはない。この手伝いも、立派な修行の一環だ」


「そんなこと言って、ノエルの若い労働力を搾取しているだけじゃないですか。ぶぅぶぅ、どうしてノエルの師匠たちは、揃いも揃ってこういう、こき使うような人たちばっかりなんですか!? ブラック師匠はんたーい!!」


「……なんだブラック師匠って?」


 ノエルの厨二発言に振り回されることもなく、炉の中で溶けた鉄を、野太い鋏で挟むと手前へと取り出すギムレット。


 彼が慣れた感じでそれを金床の上に置く。

 すると、すぐさま不肖の弟子が鋏を受け取る。


 手の空いたギムレットはすぐに脇に置いてあったハンマーに持ち替えて、とんてんかんと赤熱する鉄を打ち始めた。


 阿吽の呼吸という奴だ。

 もうすっかりと鍛冶師の弟子を自称してもいいのではないか。

 というくらいの、息のあいぶりであった。


 もちろんそれはギムレットの望むところではなかったし、朝倉が望むところではなかった。


 だが――。

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