第756話
他の修練にしても、ノエルの習熟ぶりは大したものになっていた。
滝での薪落としについては、もはや一つも取りこぼすこともない。
背負って帰る薪の量にしても、必要最低限の量になるようになった。
さらに下る速度も十分に速い。
初日は、一日がかりでこなしていた工程は、いつの間にやら朝のうちに完了するようになり、昼からはギムレットの工房の手伝いなどをするくらいだ。
もはや完全に、この修行に馴染んでしまった。
そう言っても過言ではないだろう。
「ぬっはっはっは!! どうですか、師匠のもう一人の師匠よ!! そろそろ、ノエルのことを免許皆伝として、野に放ってもよいのではないですか!!」
「……調子にのるな」
ふん、と、ギムレットが投げつけた薪。
それに対しても、さっと手で掴んで止めてしまう。
おやおやどうしたのですか、と、ニヤつくノエル。
あからさまに小ばかにするその視線にギムレットは肩を落としてため息を吐いた。
しかし、免許皆伝の言葉はその口からは出てこない。
まだ少し彼の中に引っかかる部分があるのだろう。
それはもちろん、そう彼が言って来ないことからノエルの方も察していた。
まだ何か、自分はこのドワーフの下で学ぶべきことがあるのだと。
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