弟子と明鏡止水
第755話
さて、ノエルがギムレットの下で修行を初めてなんやかんやで二カ月が経った。
最初はなんやかんやとゴネていたノエルであったが――。
「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ……とうりゃっ!!」
急な山肌を軽快な足取りで登っていく不肖の弟子。
もはや、完全に山道を駆け上ることなど、慣れてしまったという感じである。
その足取りは軽い――というよりも。
何をどうすればいいのか分かっている。
そういう感じである。
後ろでぴったりとノエルに張り付いて、その様子を見ているギムレット。
相変わらず表情に乏しい彼だが、最初の時と違って斧を投げる気配は見られない。
どうやらノエルは、彼をして及第点の走りをしているようだった。
「はっはっは!! もう山道マラソンなんて、ノエルには楽勝です!!」
「……ふむ」
朝から軽快なノエルの笑い声と足音が山間に響く。
そんな彼女の反応が面白くないのか。
それとも思うところがあったのか。
ドワーフ師匠はその編み込まれた髭を撫でて顔をしかめるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます