第732話
宮廷魔術師なんてのは悪く言えば使い走りだ。
王族の勝手きままに振り回されて、いろいろな仕事をやらされる。
しかしながらその一方で、その雇い主の勝手気ままがない時は、何もしなくてもお給金が入って来る。
更に、研究費用として申請すれば、国庫から金を引き出すこともできた。
なので何かとお金には困らなかったのだが――。
独立開業ともなるとそうも言っていられなくなってくる。
手取りは完全出来高制。
ちゃんと顧客が居るから、食っていく分には困らない。
だが、昔のように湯水のように研究費を使うことができないのはネックである。
「これについてはなんとかしなくちゃな。魔法協会の方に手をまわして、助成金を貰うとかしないと、おちおち研究もできやしない」
しかし、と、思いとどまる朝倉。
魔法協会に助成金の申請なんて出したならば。
それは、理事長である、パラケルススの目に確実に入ることになる。
そして、そんなことになれば。
『なーんじゃクローデット。お主、宮廷魔術師に返り咲くのはあきらめたのか?』
なんて、嫌みを言われるのは目に見えていた。
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