第728話

 そんなこんなで、日が暮れるまで魔法陣を描き続けたカミュ。


 もとより魔力量の少ない彼女だ。

 実践の修行が終わるころには、立てないくらいにへとへとに消耗していた。


「――師匠、もう、ダメですぅ」


「よし!! じゃぁ、今日はそろそろおしまいにしましょうか!! 着替えてベッドで休んでおきなさい。私が、お夕飯の支度をしておきます――」


「――ぐぅ」


 その場に座り込むや、ぐったりと眠りこけてしまったカミュ。


 見た目こそ相応の年齢である。

 だが、彼女は人工的に造りだされたホムンクルスだ。


 その外見に反して、まだまだ人間として生きて来た時間は短い。


 遊び疲れて寝てしまう子供のようなもの。

 その場に寝こけた弟子を前に、やれやれと南条はため息をついた。


 優しい師匠はそっと、弟子の体を抱き起こす。


「手のかかる弟子ですわね。けど、だからこそ、愛しいのかもしれませんわ――」


 ふふっ、と、夕日に微笑む南条。

 そんな彼女の息を浴びて、くすぐったそうにカミュの顔が綻んだ。

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