第727話

「――うぬぬ」


 三角形を描いたまではよかった。

 しかし、そこから先、どうしていいのか分からない。


 どうしようか、どうしたものかと気を揉んでいるカミュ。

 そんな弟子を見かねて、また、南条が独り言を言い始めた。


「格は図形の個数で決まりますのよねぇ。志向はそう――どこに向けたいのか、魔力の集中する中心と経路を描くことで、ごにょごにょ」


「――中心と、経路!!」


 三角形のそれぞれの頂点から中央に向かって線を引くカミュ。

 重心の位置をぐりぐりとえぐって深く掘る。


 そして、彼女は最後に、思念は、と、ばかりに南条の方を見た。


「んー、火柱に思念なんて、必要ありませんわよね?」


「――わかりました!!」


 とん、と、魔法陣をたたけば、そこに彼女と同じ身長くらいの火柱が立ち上がる。


 はい、よくできました。

 さんざん手伝っておきながら、南条はさもそれらしく弟子を褒めるのだった。


「何事も、やってみて覚えるのが一番ですわ。さぁ、この調子で、次は水柱ですわ」


「――はい、師匠!!」

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