第724話

 修行は何も体力をつけるだけではない。

 座学もまた修行の内なり。


 家に帰り、浴室で簡単に汗を流す。

 それからすぐに南条は、黒板を前にして魔法陣についての講義をはじめた。


「よいですこと。このように魔法陣というものには属性、格、志向、そして思念という四つの核となる要素がありますの」


「――う、うぅん?」


「えぇと、属性というのはつまりその、地火風水の四属性のことですわね」


「それは分かりますけど、格というのは」


「簡単に言ってしまえば威力ということになりますわね。志向というのは、それが向けられる対象。他者へなのか、自分へなのか、それとも周囲に対してなのか――さらに細分化していくと、これは際限がなくなりますから」


「――うぅっ」


「まぁ、今、無理に理解しなくても大丈夫ですわよ。実際に使ってみて、それで覚えて行けばいいのですから」


 マンツーマンの講義でもダダ甘な南条氏なのであった。

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