第718話
結果から言えば。
ノエルの投げた薪は、一つとして、ギムレットの体をかすめることはなかった。
すべて、彼の斧はノエルの投げた薪の芯を穿った。
真っ二つに割られたそれは、左右へと綺麗に飛んで行った。
最後の方はもうやけっぱちだ。
ノエルは鼻息を鳴らしながら、投げていたくらいであった。
当然、そんな興奮状態では、手の中の薪がなくなったことにも気がつかない。
うきょっ、うきょきょーっ、と、猿みたいな奇声があがる。
それで、ようやく彼女は手の中に薪がなくなったことに気がついたのだった。
もう半狂乱、という奴である。
一方、ギムレットは汗一つとしてかいていない。
「どうしてですか!? なんでですか!?」
「はははは!!」
「ノエルの剛速球が、どうして捉えられるんですか!?」
「さて、どうしてだろうね」
「おかしい、変です、インチキです!! トリックがあるに違いありません!!」
「その通り。そのトリックを教えるために、ワシは朝倉からお前を預かった」
答えになっていません、と、また半狂乱に怒鳴るノエル。
これは長い修行になりそうだな。
ドワーフ男は少し面倒くさそうに頭を掻いた。
「まぁ、乗りかかった船だしな。今更降りるのは駄目だろう」
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