第715話

 結果はもはや語るまでもない。


 下りの中間地点にたどり着くまでの更に半分。

 下山まで四分の一の場所で、ノエルはへたり込んんだ。

 そして、そのまま座り込んでしまった。


 ギムレットはそんな彼女を、じっと横で眺めているばかりだ。


「――だ、大丈夫です。ちょっと休憩したら、また、下り始めますから」


「おう、そうしてくれるか。というか、休憩もしたくないんだがな」


「――うぅっ」


「最初に言っただろう、、って」


 それは確かにギムレットが、ノエルに対して出発前にかけた言葉だった。


 そしてその言葉の意味するところを、ノエルはすっかりと誤解していた。

 誤解したまま、この下りのトレーニングを開始ししてしまったのだ。


 早く下りれば、その分、早く楽になれる。

 そう考えてしまうのは頭のおポンチなノエル。

 仕方のないことかもしれない。


 しかし――。


「まったく。こんなだから、アイツもワシにお前を預けたんだろうなァ」


 ギムレットにはよく分かっているようだった。

 朝倉がなぜノエルを自分に押し付けたのか――その理由について。


 そして、だからこそ、あえて。

 このような、地味な基礎練習のような修行を、ノエルに課しているようであった。

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