第674話
「天と地を分かつは炎帝の剣が一閃。暁の刻ここに再び来たりて、暗黒を薙ぎ払う業火を引き連れて、この地に黎明をもたらさん――」
「ほう、その呪文」
ジャン・バルジャンが顔をしかめる。
彼が身構えるよりも早く。
朝倉はそのかざした右手を、左脇下から上に向かって切り上げるように動かした。
その手の動きに呼応するように、轟轟と燃え盛る紅蓮の炎が空気を裂く。
『
それは彼女が知りうる、そして現存する最高火力の魔法。
太陽と同じ灼熱で、敵の身を焼き切るという荒業の中の荒業であった。
おそらく、体の一部でも残っていれば、ジャン・バルジャンは再生して復活する。
ならば、細胞一つこの世に残らぬレベルで、消しさるしかない。
「業火に焼かれて塵と消えろ!! ジャン・バルジャン!!」
紅蓮はその熱と光を増し、眩いばかりの黄金の帯へと化す。
ほの暗い監獄四階が一瞬だけ強い光に包まれた――。
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