第671話

 壁に四肢を拘束されている魔法使いたち。

 しかし――その眼から、その口から強力な魔法を発してくる。


 伊達に協力者くもつとジャン・バルジャンが称しただけはある。

 彼らはまさしく、狂気の魔術師の業というのに相応しい、人間離れしたバケモノ染みた力を持っていた。


 それを圧倒的な魔力量でもって相殺し、強引に殴って気絶させていくノエル。


「ふはははっ!! 一方的ではないか!! どうした、この程度かぁっ!!」


「油断こいてんじゃねえ、そいつらは、五体満足だったなら、一応この世界でも十本の指には入るレベルの魔法使いなんだぞ!!」


「これで十本指に入れるならチョロいですね!! 世界一も見えますよ!!」


 ぷちりぷちりと、壁の魔法使いたちを潰して倒して回るノエル。

 流石は大陸最強の魔法使いの弟子――いや、この場合は彼女のスペック自体がバケモノじみていると言った方がいいだろう。


 ほほぅ、と、感嘆の声を上げたのは、黒曜石の面の魔術師ジャン・バルジャン。


「私が揃えた同志たちを、随分簡単に屠ってくれるではないか。そうでなくてはな、ディァボリクァ!!」


「うるさいぞ、ジャン・バルジャン!! てめえの相手は、こっちだ!!」

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