第667話
「まぁ、とりあえず、グロいこの光景には目をつむるとして、そのバンバラバンバンバンさんはどこに収監されてたんですか?」
「ジャン・バルジャンだ」
第四層はその特殊性から、全体――収監者の状況が一目で分かるように、柵もな何も用意されていない。いわば、丸裸の監獄である。
ここでもし、壁から供給されているブドウ糖と睡眠剤の供給が絶たれてしまったら、その時点で一巻の終わり――ということは、件の監獄長がきっちりと、魔法を封じているからありえないのだが。
あまり長居をしたいような場所ではない。
「ジャン・バルジャンは第一級の犯罪者だ。目につきやすい場所に収監してもらった。正面に居るのがそいつのはずだ――」
そう言って朝倉は、第四層降りてすぐ正面の壁へと視線を向けた。
その顔が怪訝に歪む。
ジャン・バルジャン。捕まえたときには、毛の一つもなかった禿男は、ここ数年の監獄生活からか、長い毛に覆われていた。
それだけではない。
その顔は、人間のものとは思えないほどに、青白く変貌していた。
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