第638話
ふっ、とアラクネが口から糸を吐き出す。
すぐさま朝倉は防壁魔法を展開させたが、それに糸が絡みつくより早く、絡新婦は路地裏の壁を蹴って大きく舞い上がる。
「魔法使い。やだ、お母様の同僚かしら」
「――そうだよ!! おまえの生みの親のおかげで、こっちはしたくもない男装をして、変装までして、おまえけにこの大立ち回りだ!!」
「だってぇ、しかたのないことじゃない。そんなに怒らないで」
アラクネの右前脚――ひときわ大きいそれが朝倉の首を狙う。
あらよっととかわすのだが、矢継ぎ早、次に控えている脚がまた出てくる。おっとっとと右に左にと後退しながら避けるうちに、いつの間にやら、朝倉は壁に追い詰められていた。
「はい、チェックメイト」
「難しい言葉を知ってるじゃねえか。モンスターの分際で」
「教育熱心だったからね、私の、お母さまは」
「そうかい。けれども世間のことについては教えてくれなかったようだな」
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