第634話
女から聞いたその新入りがねぐらにしている路地裏は、裏通りの中でもずいぶん奥まった場所にあった。
「奥の方まで入ってくるのは物好きか、それともここのことをよくしらない新顔ばっかりだからね。そもそもチヨ婆って、特殊なニーズだったし」
「まぁ、そりゃなぁ」
女のそんな言葉を思い出しながら、朝倉はずいずいと裏通りを進んでいく。
路地裏の女と目が合うたびに、きゃあきゃあとはしゃぐ声がするのがこそばゆい。
いっそ、女ではなくて男に生まれていたらと、一瞬でも考えてしまった自分が情けなくって、朝倉はかぶりを振った。
ふと、そんな黄色い声が唐突に止んだ。
「――ここか」
それは彼女が歳の近い夜鷹の女より、教えてもらった路地裏。
裏通りの最奥から四番目。表通りは料理屋と宝飾店、その間にある暗い道であった。
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