老ドラゴンと弟子

第597話

 ファンタジーと言ったらドラゴン。なんといっても討伐がクエストになるくらいに、竜というのはこの手の世界と切っても切れない関係である。


 とはいえ、朝倉たちの世界での竜事情はちょっと異なる。


「竜と一口に言っても、いろいろな種類があるのは知ってるな」


「地中に住んでたり、空を飛んでいたり」


「前者はワーム、後者はワイバーンなんて言われてたりするな。まぁ、それはいい。とにかく、竜のくくりってのは意外と広い」


「全然ちがいますものね、姿とか――けど、なんで竜なんですか?」


 そこだ、と、朝倉がソファーにもたれかかって言った。

 ひょいと虚空の中から魔法で取り出したるは小さな小瓶。その中には、まるでサファイアのように輝く赤い砂が入っていた。


「これよこれ、これが、竜たるものの由縁」

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