第598話
その瓶の中に詰められているものは、竜血と呼ばれるものだった。
そのものずばり朝倉が言った通り、竜の竜たる由縁。
魔力が込められた特別な血である。
ずばり竜とはこの血を持つモノをこの世界ではさす。
朝倉は瓶の中からその血を取り出すと、ソファーの手前にあるテーブルへと撒く。
血というにはあまりにもざらりとしたそれは、砂のように盤上に広がった。
きらきらと輝くそれは、サファイアあるいはサンゴを砕いて作ったものだと説明されても、思わず納得してしまいそうな美しさがある。
しかしそれを注意深く眺めれば――。
「――師匠、なんか、いま、砂が動いたような」
「勘がいいな弟子。そうだ、動いた。実際に、動いたんだ」
ぞぞり、と、ぞぞり、と、その結晶は、絶えずテーブルの上で動いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます