第591話
なぜ朝倉が怒っているのか、なぜ、自分が説教されているのか。
なによりも、どうしてここまでの剣幕で、怒られなければならないのか。
訳も分からずノエルは絶句し、その場にまたへたりと座り込んだ。
「シールがダブってカミュちゃんにあげたそうだな」
「――は、はい」
「ダブるくらいに買い込むってことは、いま、何種類くらい揃えてんだ」
「六十種類くらいです。けど、最近は、買っても新しいの出なくって」
「当たり前だ、そういう仕組みの商売なんだから」
弟子の訳が分からないという表情は依然として変わらない。
すべてのシールが均等に刷られているというのなら、買えば買うほどに当たり――つまり、まだ持っていないシールが出る確率というのは小さくなっていく。
この手の商売を否定するのは朝倉の本意ではないが、度を過ぎたのめりこみについては、ノエルの保護者として、そして師匠として、当然責任を感じていた。
どうしてもっと早く気づいてやれなかったのだろうか、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます