第588話
「――はい、朝倉さん。確かに最近、ノエルがウェハースをお土産に持ってきます」
「困りましてよ。炭水化物は太りますのに。うちのカミュがおでぶちゃんになってしまったらどうしてくれますの、朝倉さん」
「すまん。いや、こっちにもそんな迷惑をかけてるとは」
次いで訪れたのは朝倉の姉弟子、南条が構えている工房である。
彼女の一番弟子であるカミュのところにみ、ノエルはポン子よろしくウェハースをくばっていたらしい。
「しかも、袋にまとめて持ってきてる――とか?」
「――はい」
やっぱりか、と、朝倉。
本来、ウェハースはちょっと触れれば形が崩れる、もろいお菓子である。
個包装の銀紙なんかで包まれて、売られているものだが、それが丁寧にはがされているというのがどうにも気になる。
なんかあるぞ、と、朝倉が確信したそのとき、あの、と、カミュが声をあげた。
「――それともう一つ。これ、ダブったからあげるって、ノエルが」
「ダブった?」
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