第587話

 ポン子の話によると。どうもチョコ菓子を会うたびに大量にくれるのだという。

 よくある駄菓子、俗にいうウェハースという奴で、妙に食べごたえがあるという。


「ポン。けど、別にそんな大量にもらっても、こっちも食べられないから、正直なところ困ってるんだポン」


「そりゃまた、迷惑をかけてすまん」


「いいぽん、こっちもなんというか、慣れてるから」


 苦笑いをしながらも、気持ちのいい返事をするポン子。


 これくらいの度量でなければ、あの嵐のようなアホ弟子の友達など勤まらない。

 弟子の代わりにその友情に感謝しながら、朝倉はますます首をひねりたいここちになった。


「大量のウェハース。うぅん、いったいどういうことだ」


「ポン。しかも、個包装のところをはがした状態で、袋に何個もまとめ持ってくるんんだポン」


「個包装をといて、袋にまとめて」


 うぅむ、と、朝倉が首をひねる。

 どうも彼女だけに話を聞いても話は見えて来なさそうだ。

 礼を述べると、彼女は転移魔法で早速、次の心当たりへと向かったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る