第577話 ワイルドな弟子
「ワイルドだろう?」
「またそんな、魔法テレビから妙な影響を受けてからに」
デニムの服に着替えたノエルがそんなことを口にする。
ボロボロに破いたノースリーブにホットパンツ。発育途上の女の子のする格好ではない。そういう意味ではワイルドには間違いない、というかデンジャラスだ。
「お前、その格好で絶対に外出るなよ。あの工房は、弟子にいったいどういう教育をしてるんだって、噂になったら困るから」
「えーっ、これからポン子と、どっちがゲットでワイルドか、勝負しようって話だったのに。あんまりですぅ」
「ポン子ちゃん困らせるようなことするな。というか、なんだゲットでワイルドって。そんなもん比べてなんになるってんだ」
というかそもそも、ポン子は獣人なんだから、ワイルドさで勝てる訳がないだろう。
そんなことを言ってあきれる朝倉。
と、そんなところに、こんこんと、工房の戸を叩く音が響く。
「ごめんくださいだポン。遊びに来たポン。久しぶりの出番で、ちょっと嬉しいポン」
「ポン――子?」
「どうしたポン?」
扉から出てきたポン子の姿に朝倉とノエルが絶句する。
なるほどワイルド、彼女の姿は南方のバーバリアンそのもの。水牛の骨をかぶり、斧を手に持ったその姿に、出て来るゲームを間違えたかなと、二人は思った。
「朝倉魔術師!! 怪しい野蛮人がこちらに向かったという目撃情報が――うわぁああっ!!」
「ぎぃやぁああああっ!!」
「うひゃぁああああっ!!」
「――なんだこのオチ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます