第577話 ワイルドな弟子

「ワイルドだろう?」


「またそんな、魔法テレビから妙な影響を受けてからに」


 デニムの服に着替えたノエルがそんなことを口にする。

 ボロボロに破いたノースリーブにホットパンツ。発育途上の女の子のする格好ではない。そういう意味ではワイルドには間違いない、というかデンジャラスだ。


「お前、その格好で絶対に外出るなよ。あの工房は、弟子にいったいどういう教育をしてるんだって、噂になったら困るから」


「えーっ、これからポン子と、どっちがゲットでワイルドか、勝負しようって話だったのに。あんまりですぅ」


「ポン子ちゃん困らせるようなことするな。というか、なんだゲットでワイルドって。そんなもん比べてなんになるってんだ」


 というかそもそも、ポン子は獣人なんだから、ワイルドさで勝てる訳がないだろう。

 そんなことを言ってあきれる朝倉。


 と、そんなところに、こんこんと、工房の戸を叩く音が響く。


「ごめんくださいだポン。遊びに来たポン。久しぶりの出番で、ちょっと嬉しいポン」


「ポン――子?」


「どうしたポン?」


 扉から出てきたポン子の姿に朝倉とノエルが絶句する。

 なるほどワイルド、彼女の姿は南方のバーバリアンそのもの。水牛の骨をかぶり、斧を手に持ったその姿に、出て来るゲームを間違えたかなと、二人は思った。


「朝倉魔術師!! 怪しい野蛮人がこちらに向かったという目撃情報が――うわぁああっ!!」


「ぎぃやぁああああっ!!」


「うひゃぁああああっ!!」


「――なんだこのオチ」

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