【番外編】小ネタの弟子
第573話 師匠と宮廷魔術のお仕事
「師匠。宮廷魔術師のお仕事って、いったい何をするんですか?」
「――え?」
いきなり真面目な顔で弟子に問われた朝倉は大いにうろたえた。
まさかこの娘が、長くなんの疑問も持たずに、王城内の工房で暮らしてきた不肖の弟子が、そんな今更で、そして当たり前な質問をしてくるとは思っていないかったからだ。
そして同時にその問いに対する答えを、彼女は持ち合わせていなかった。
「あれだなぁ、こう、魔術で困ったことがあったら助けたりする」
「――それは魔術でなくてもいいんじゃないですか?」
「まるで事業整理しているどこぞの代表みたいなことを言うなお前は」
「だって、魔法使いである必要性が――むぐぐぐ」
「はいはい、設定ってのは大事なんだよ。お前、野良の魔法使いとその弟子だったら、話にしまりがつかないだろう」
おっしゃる通りでございます。
そして、事実、何も言い返せないほどに、宮廷魔術師とは何でも屋であった。
それこそ下世話なことから、あきれるようなことまで。王侯貴族のわがままに振り回される、お給金こそいいもののあんまりにもあんまりなお仕事。
もっと弟子に説明しやすい仕事に就けばよかったな、朝倉はちっとばかり後悔した。
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