第568話

 人海戦術。どうせなら、魔法使いギルドを通して、いろいろと紹介してもらうんだったと、いまさらながらに後悔する。


 今日一日で見つからなければ、実際、引き返してもう少し人を集めて再挑戦するのが無難なのかもしれない。そのあたりは、朝倉も一応は自覚していた。

 ただ、文字を読める人間というのは少ない。ノエルでさえ、覚えるのを放棄した古代文字である。その複雑さを、文字も読めない人間たちに識別できるとも、思えない。


「なんとか見つけられんもんかねぇ」


「だいたい魔法使いが人海戦術とか、そういうのよくないと思うんですよ」


「そういうこといわない」


「もっと、魔法でスパーっと、なんかこうスマートに解決するのが、大魔法使いとしての矜持だと思うんです」


「――うん、それは、俺も、そう思う」


 そう思うけど、どうしようもない。無茶なことは言わないでほしいと、朝倉は首を垂れた。首を垂れて、そして、ふと何かを思い出したように顔を上げた。


「そうか。なにも見てそれを判断する必要はないわけだ」


「???」

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