第569話
ノエルの疑問に、朝倉はふと魔法工具を取り出していそいそと何やら作り始める。
魔法生命体の大家を姉弟子に持つ朝倉である。当然、彼女もまた、その手の魔法の扱いについては、そこそこの腕前を自負している。
ノエルが退屈してあくびを放つようになる頃には、それは出来上がった。
「できた!!」
「――なんですかこれ? ブルーのでろでろぷよぷよ、スライムですか?」
「そうそうスライムだ。基本的なところはな。しかし――ほれ、これを見ろ」
そう言って朝倉が指さしたのはスライムの腹である。
そこにはどうしてスライムなのに、ぷよぷよとしていない部分――そしてどこかでみた図形に似たでっぱりができていた。
「これは?」
「古代文字を固形化したんだ。壁に彫られている文字のサイズに合わせてな」
「ふむ?」
「わからないか、まぁ、仕方ないだろうな。天才の発想は、しょせん凡人には理解できんというもの」
「なんか今日の師匠、ちょっといつもと違う感じですね。どっちかっていうと、そういうのをいうのは、ノエルの方なのに」
そういう日もあっていいじゃねえか。朝倉は得意満面の笑顔で弟子に言った。
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