第557話
「そうそう、そういえば、今年は花火を王城を後ろに飛ばすらしいぞ」
「お、なんだよそれ。初耳だぞ。よく許可したな王族の連中も」
「まぁ、たまにはそれくらいの趣向を凝らしてみても、罰はあたらんじゃろう。東方では、祭りに合わせて花火をあげるのは、風物詩のようなものじゃからな」
「そういえば、師匠は、東方を漫遊したことが――」
おっとこうしちゃおれんと、弟子の質問に答えるのを止めて、孫の背中を追いかけていく師匠。
どうやら、そのあたり、深く突っ込まれたくはないらしい。
若いころには相当に無茶をした魔法使いだという。
無理に聞き出すものでもないし、今日はそういうことを聞くような、野暮ったい日でもない。
好々爺の背中を見送って、再び、姉弟子と妹弟子は視線を交わした。
「で、どうなんだ、手乗りゴーレムの売り上げは?」
「――この芸術性をわかってくれる庶民の方は、なかなかいらっしゃいませんわね」
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