第554話

 話の発端はこうである。


「東方のお祭り。そんなものが王都ではあるんですね」


「そうですわ。まぁ、私たちには関係のないことですけど」


「――関係ないのですか?」


 とまぁ、弟子のカミュがちょっと残念そうな顔をした。

 しかしながらその手のお祭りには縁もなければ興味もない、ついでに言うと居場所もない南条である。


 困った挙句、彼女はなるほどそれならば、出店するという体にしてしまえと、そういう結論に至ったのだった。


「相変わらず、不器用な愛情を注いでるなァ」


「だってだって、仕方ないではありませんの。私、こういう騒がしいところは、あまり得意ではなくて」


「弟子と一緒に周ればいいじゃねえか」


「それができれば私だって、こんな苦労はしていませんわ!!」

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