第552話

「いらっしゃい、いらっしゃい、カラーひよこはいかがかねぇ」


「師匠見てください!! あの真っ赤なひよこは間違いない、不死鳥フェニックスのひよこですよ!!」


「んなわけないだろう」


「カメ掬い、カメ掬いだよぉ。一回、10ゴールドだよぉ。大きいよぉ」


「師匠!! あのカメは、間違いなくこの世界を支えているという、世界の底の亀の子供に違いありません!!」


「この世界は丸い。それは、はっきりと魔法協会の観測チームが結論を出してるんだよな」


「手乗りゴーレム、手乗りゴーレム。小さくてかわいい、手のひらで踊る、かわいいゴーレムはいかがかしらぁ」


「師匠!! 手乗りのゴーレムですって!!」


「――なんか聞いたことのある声だな」


 いちいち、縁日の出し物に反応する弟子を無視して進んでいた朝倉が不意に足を止める。その声の方向を見ると、麦わら帽子に、茶色い腹巻、そしてたわわに実ったそれを、ステテコに無理やり押し込んだ、よく知った顔があった。


 頭に麦わら帽ぃ目にはサングラス。しかし、金色の縦ロールは、この世界で生きていてもそうそうお目にかかれるものではない。

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