第551話

「いやしかし、異国のお祭りってのもいいものですねぇ」


「だなぁ。毎年この祭りが楽しみってだけで、宮廷に住んでるような所あるからな」


「わかりますよ師匠。春の花見や秋の収穫祭も魅力ですが、やっぱりお祭りといったらこれですよね。個人的にはいっぱいお店が並んでるところが得点高いです」


「そだな。ジャンキーだけど、この雑多な感じがたまらないよな」


 ずらりと視界の果てまで伸びる屋台を眺めて朝倉がいう。

 この屋台については、東方からの移民たちが、そこの文化をまねて作ったものなのだという。食べ物にしても、どれも彼らにとって馴染みの深いものなのだそうな。


 噂話に東方の国については、朝倉もその存在を聞いたことはあるが、実際に行ったこともなければ見たこともない。


「しかし、こんなものを日常的に食べているなら、洒落たもんだよな」


「ですね。ノエルも、そっちの方で産まれればよかったです」


「そりゃ言い過ぎでないか」

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