第550話

 朝倉は、その苛烈な性格によく似合う、茜染めの浴衣を。ノエルは、イメージカラーの緑色を基調とした、白い模様の入った浴衣を、それぞれ身にまとっている。

 いつもは魔術師、華美に着飾ったりはしない二人であるが、素材はいいものを持っている。


 通り過ぎる人たちの目を存分に引き付けて、二人は屋台の立ち並ぶ通りを、あてどもなく歩いていく。

 東方からの移住者たちの多くが、広場の中央に仮置きされた礼拝堂へと向かう中、そんな宗旨など関係のない二人は自由に祭りを楽しんでいた。

 中にはよくもわからずに、その礼拝堂へと参る者たちも多いのだが。


「師匠、イカ焼きですよ!!」


「よし、六本確保しろ!!」


「師匠!! ブルーハワイと大正義イチゴ味、どちらがよろしいですか!?」


「半分ずつかけて、パープル味でどうだ!!」


「はふ、はふ、もほ、もほっ!!」


「たこ焼き、うめぇーっ!!」


 花より団子、祭りより食い気。この二人には、そんな文化的なものを楽しむ余裕など持ち合わせていないのであった。

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