弟子とお祭り
第549話
暑さの厳しいこの季節。
うだるような熱帯夜の続く王国。そんな王都の、日が最も長くなる日の夕刻より、メイン広場を貸し切って、東国よりやって来た民族が主催する、祭が執り行われていた。
東国より、移住してきた民族は、意外と多い。
勤勉ではないが、手先が器用な彼らは、ギルドの貴重な労働力として積極的に王国に迎えられている。当然、王都にそのまま定住する者も多いのだが、故郷が恋しいのだろうか、数百年ほど前から、この時期になると申請の上で、このように広場を借り切っての祭りを行うようになったのだ。
今ではその文化もすっかりと王国内に根付いてしまい、この異国情緒あふれる祭りを目当てに、国内から、観光客がやってくるような状態である。
人生何があるかよくわからないとはいったものだが、国の文化というのも、何がどうなるのかよくわからない。
「師匠!! 師匠!! 金魚を、ゴールデンフィッシュを今年も救いましょう!!」
「救うじゃなくて、掬うだ。お前は本当にそれ好きだな」
そんな祭りの喧騒の中に、弟子と師匠が二人連れだって歩いていた。
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