第498話
転移魔法によって移動したのは、王国のはずれにある廃棄場である。
使われなくなった調度品に、鉄くずや削り出された木片、なんの汁かもわからない緑色をしたものに満ちているそんな穴のひとつに、スライムは落とされた。
穴の縁に立って、そっとその中を覗き込む朝倉とノエル。
彼らの視線など少しも知ったことかという感じに、ブラックスライムは、体の下に現れた上質な餌を、すぐさま溶かして取り込み始める――。
におい立つ悪臭に、うぇ、と、ノエルがえずく。
すぐさまにおい漏れもかねて封印魔法を朝倉が施すと、ノエルはようやく顔を元に戻した。
「こんな所に落として、どうするつもりですか」
「ゴミ処理に利用させてもらう。ブラックスライムは、節操なくなんでも溶かすからな。ここの穴のごみをすべて溶かしてもらう」
「それじゃ、ますます、ブラックスライムが大きくなるだけじゃ」
「それが狙いだよ」
にんまり、と、朝倉がノエルに対して邪悪な――そして悪知恵に満ちた笑顔を見せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます