第497話

「どうするって言われてもな」


「えっ、師匠、まさかのノープラン!? ノーライフ・ノープラン・ノーマネーなんですか!?」


「ノーマネーではないなぁ。こいつは流石に想定の範囲外だ」


 しかしながら、放っておくこともできない。

 この汚染された汚いスライムが、城の中の水路を徘徊すればするだけ、冷房システムの復旧は困難になってくる。


「スライム倒しの定石は――ノエル、なんだか覚えてるか?」


「蒸発と濃縮です!! なので、爆発魔法や加熱魔法で、じっくりじわじわ、遠火でゆっくり焼いてあげるんですよね!!」


 ふふん、それくらいは知っているんだぞ、と、得意げに鼻をあげるノエル。

 しかしそんな自慢気な弟子を完全にスルーして、朝倉はブラックスライムを睨み付けた。


「そうだ。だが、ブラックスライムは、その体組織的にその定石が使えない」


「だったら、どうするんですか、師匠?」


「――こうする」


 そう言って、朝倉は転移魔法をスライムの前へと展開した。壁のランプとはまた違う、青白い光がスライムを包み込む、と、同時に、朝倉たちもその光に包まれた。

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