第480話
さて。
そんなこんなで朝倉とノエルがやって来たのは王国の北にある森の中。
針葉樹林が生い茂り、昼だというのに薄暗いそこ。近くにある山は万年雪がびっちりと峰を覆っており、そこからふきつける冷たい風により、肌を刺すような冷気がそこには満ちている。
こんな森でいったい何をしようというのか。
「ノエルよ。俺は大陸最強の名を手に入れる為、この森に一年間籠って修業をしたことがある」
「本当ですか!? こんな森に入って修業ってことは――花嫁修業ですか!! 一から樹を切り倒して家を造ったり、熊や猪を狩って手料理を造るんですね!!」
「違うわバカたれ」
そんなはた迷惑な嫁がはたして必要だろうか。
普通に山籠もり――つまるところ、格闘家としての修業のためである。
「文明の利器を一切持たず、生きるためにその五感の全てを研ぎ澄ます。余計なものをそぎ落としそぎ落とし――そうして手に入れたのが、大陸最強の魔法使いの称号だ」
「なるほど。つまり師匠は、またそれをやろうという訳ですね」
「あぁ――」
名付けて、朝倉ブートキャンプ。
大陸最強の魔法使いが叫ぶと、その声に応じて、森から鳥たちが舞い上がった。
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