第478話

 どうしていろんな物事をオブラート厨二病に包んで語るのに、肝心の所だけそうもストレートな言葉をふっかけてくるのだろう。

 式典だというのも忘れて、高火力魔法を弟子の頭に容赦なく打ちこんだ朝倉。

 それでもう、式典はてんやわんやの内に、そうそうに切り上げられることになった。


「もう、なにしてるんですか師匠!! お仕事の最中だっていうのに、取り乱し過ぎですよ!!」


「いや、すまん。というか、お前が、そういうこと、言わなければ」


「事実を言われて狼狽えるなんて、心が弱いということですよ!! どんなに残酷な真実であっても、立ち向かう漆黒の意思ダークネス・ハートを持たなければ――師匠、修業が足りません、まだまだですね!!」


「そんなもん持ち合わせとうないわ」


 とはいえ、取り乱したのは事実。

 そしてお腹の肉がぷにっているのも事実であった。


 むにりと、自分の腹回りをつまんで、その肉付きを確認する朝倉。

 絶頂期は割れて筋肉が浮き出ていたはずのそれが――今やもう、すっかりと見る影もないではないか。

 なぜだ、と、彼女は自分の肉体のだらしなさに、顔を俯かせた。

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