第476話
「カミュちゃんの師匠さん。逃げ回っていても何事も解決しないですよ。やはり、ここは真正面から立ち向かってこそではないでしょうか」
「あのなぁ、ノエル。それができたら苦労せんっていうの」
「けれども、カミュちゃんの師匠さんが逃げ回ってることで、カミュちゃんはこうして不安にしてるんですよ。弟子のことをかんがえたら、師匠なんだから、どんと構えるのが師匠なんじゃないですか?」
語彙力はともかくとして、珍しくノエルの言ったことにしてはまっとうだった。
なるほどと、南条は少し感心するようにして彼女を見て、すぐに台所へと戻っていたカミュの方へと視線を向けた。
自分の名前が話題の俎上に出たからか、彼女は師匠の視線に応えるようにその顔をそちらへと向けた。
確かに、どこか不安気な顔つきに、南条が目を伏せる。
「そうですわね。師匠の私がしっかりしないと、カミュが可哀想ですわね」
「そうですよ!! しっかりしてください!!」
「カミュが安心して修行できるためにも、逃げてはいけませんわね。教えられましたわノエルさん。朝倉さん、貴方、本当によいお弟子をお持ちですわね」
「いや、こいつ、たいがいだよ」
どんなことがあっても逃げない師匠である朝倉は、師匠たるやと気軽に語る不肖の弟子に苦々しい視線を送るのであった。
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