第475話
ふと、そんなパラケルススの工房の扉が、ぎぃ、と、ひらかれる。
「師匠、ここですかぁ?」
少し不安げに、工房の扉の隙間から、中を窺っているのは間違いなく――朝倉の愛弟子であるノエルであった。
反省の意味と、南条の保護もかねて、彼女は朝倉の工房に置き去りにしてきたのだが、どうやら心細くなって、彼女を探してここまでやって来たらしい。
流石に、そこまでされて追い返すほど、朝倉も鬼ではない。
「おう、ノエル、よくここが分かったな」
「分かりますよ、そりゃもちろん。何年師匠の弟子をやってると思ってるんですか。師匠の考える行動パターンなんて、ノエル、知り尽くしちゃってますから」
えへん、と、何故か胸を張る不肖の弟子に、たまらず苦笑いをこぼす朝倉。
「さすがにもう、パパラッチなんかは連れてきてないだろうな」
「上手くまいてきましたよ。というか、こんな山奥、普通の人なら来れませんって」
「それはそうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます