第469話
「先生、次はいったいどのような本を書かれる予定ですか?」
「身寄りのない老人相手に、介護用木製ゴーレムの造り方の魔導書を書かれると聞きましたが本当でしょうか?」
「私は今の魔導書の派生形で、しゃべるぬいぐるみの魔導書を書くと聞いたのですが」
「魔導書を書く予定なんてありませんわ!! 放っておいてくださいまし!!」
転移魔法を展開するや青い光の中へと消える南条。
ここもダメかという感じのやるせなさに、その表情は歪んでいた。
ベストセラー本を出してからというもの万事この調子である。
南条がいなくなったとみるや、次はどこだと朝倉の工房を出て行く記者たち。いちおうここは王城の一部なんだけれどな、と、ため息をつきながら、彼女はテーブルの前のカップを手に取った。
話し込むうちにすっかりと冷えてしまった紅茶を一口。
「ふぅ、やれやれ、すごい人でしたね。カミュちゃんの師匠さんも大変です」
「おう、そうだな、ノエル」
記者たちの群れと入れ替わりに、工房へと入って来たノエル。
その胸にはお菓子のいっぱい入った紙袋が抱きしめられていた。
「――ノエルちゃん?」
「違うんです。これは違うんです。ノエルほら、嘘、つけない性格だから」
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