第468話
「魔法使いにとって大切なのはお金ではありませんわ!! 研究する時間と設備、それだけですのに!!」
「まぁ、金はないよりあったほうがいいと思うけど」
「それでも研究する時間がない、今の生活は魔法使いの本分から外れてますわ。それは、ちょっとくらい、売れればいいなとは思いましたけれど――」
「いたぞ、南条先生だ!!」
「妹弟子の朝倉の工房に避難していたというのは本当だったんだ!!」
わっと、朝倉の工房へと押し寄せてくる人の群れ。
どれもこれもかれもこれも、手には万年筆とノートを握り締めている。
今や魔導書の大ベストセラー「サルでも作れる魔法生物」を書いた南条は、時の人である。魔法使いの間には、そこそこ名前の知られていた彼女だったが、いまや市井にもすっかりと名の知れた人間になってしまった。
というのも魔導書がそれだけよい出来だったからに他ならない。
南条の書いた本は、初心者どころか、魔法の修業をしていない一般の人間にも、分かりやすく、そして、実践しやすいものだったのだ。
世は今や一大の疑似魔法生物ブームであった。
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