第467話
朝倉が言った通り、疑似魔法生物については一定の需要がある一方で、その分野についての研究や進歩についてはあまり目立った成果が見られない。
これは、それを研究する魔法使いの少なさももちろんながら、比較的に難易度の高い魔法分野であり、研究したいと思っても、それを学ぶだけのとっかかりとなる教材が不足しているというところにもある。
こと、疑似魔法生物の魔導書といえば、スライムとゴーレム作成についての秘術について記したものである。
それより進んだもの――たとえば南条が弟子カミュに教えたようなものは、一般的ではないものであり、その手の研究者たちにより口伝にて教えられて来たり、あるいは、魔法使いごとにアレンジを加えて運用されてきたものだった。
とどのつまり、使う人を選ぶ魔法だったのだ。
それが、ぽんと、初心者魔法使いでも分かりやすい、魔導書がでたらどうなる。
「え、え、えらいこっちゃですわ!!」
「お嬢ことばが崩れてるぞ、南条」
「崩れもしますわよ。重版に重版、また重版で、本が飛ぶように売れて――こんど、王国の図書館にも蔵書するという話まで来てますのよ」
「いいことじゃねえか」
「ちっともよくありませんわよぉ!!」
南条はヒステリックな悲鳴をあげた。
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